230703 山口家住宅離れの貼付け壁の修復が完了

代官所の設えを持つ山口家住宅には主屋の完成後に増築された「宮様の離れ」があります。陸軍の演習場に来臨された梨本宮・李王殿下・閑院宮ほかの宮様方をお迎えするための茶室風の離れです。この部屋の壁は柔らかい雰囲気を醸し出す「貼付け壁」になっています。しかし年月を経て痛みが激しくなっていましたので、宮大工の内田工務店と「貼付け壁」の技術を持つ守谷表具店の力により、この5月に修復が完了しましたので紹介します。「貼付け壁」は主屋の「書院の間」が2020年8月に、2021年6月に主屋2階の主室(「通称殿様のお部屋」)が修復され、今回の修復が3回目となります。

▼「貼付け壁」修復後の「ミヤサマノオヘヤ」(通称「宮様の離れ」)です。
床の間の壁の四隅は「四分一」と呼ばれる細い木で止められ締まった表情で、
土壁に比べて優雅な雰囲気を醸し出しています。

▼修復前の部屋です。「貼付け壁」に多数のタワミとキズ、シミが見られます。

▼「貼付け壁」の修復前に部屋自体の修復が必要であることが分り、宮大工の
内田様と建具師の守谷様が修復方法を打合せています。

▼昔の貼付け壁の裏には何層かの和紙が張られますが、その一つに明治24年の
衆議院関連の書類が張られていました。山口家の8代当主は明治23年に初代の
衆議院議員に当選しています。左側の写真は貼られていた場所を映しています。

▼床の間全体の修復途中の写真です。貼付け壁を支える木組みも修復が必要となり、
和紙を剥がした後、木組みの修復も行いました。

*「貼付け壁」の修復に焦点をあてた写真を紹介しましたが、この部屋のゆがみを
修復するために、柱の下部の継木、根太、床板、天井のゆがみ等を修復し、シロアリ
や獣の侵入を防ぐ対策なども行いました。

 

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